この記事で分かること
- PythonプログラムでExcelファイルを自動で作成する方法が分かる
- PythonプログラムでExcelからデータを読み込む方法が分かる
PythonでExcelを操作する概要
現在のオフィス環境では、データの集計やまとめにはExcel形式のファイルでやり取りされることが多くあります。また、企画内容や仕様内容をExcelで考えを纏める人も少なくありません。
なので、社内環境ではまだまだExcel使用者が根強く残っています。このような環境で、あるシステムのアウトプットとしてのExcelを扱う為には、いづれかのプログラムによってExcelファイルを操作できる必要があります。
この記事では、Pythonを使ったExcelファイルの作成方法と、Excelファイルからのデータ読み取りを方法を説明します。
PythonでExcelを操作する前提環境
Excelを操作する前提の環境は、下の記事で説明している私の環境と同じ環境で確認しています。
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【Python】バージョン確認の方法【→プログラミング初心者向け】
続きを見る
レンタルサーバなどのLinuxサーバを使っている場合は、下の記事でプログラミングする環境の作り方を説明しています。もし、まだプログラムする環境ができていない方は、先にこちらの記事を読んで、プログラミングできる環境をつくることをおすすめします。
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【Linux】レンタルサーバーでプログラミングする方法【→ブログのサーバーでできる!】
続きを見る
- openpyxlライブラリをインストール
$ pip freeze | grep openpyxl
openpyxl==2.6.1
PythonでExcelを操作するサンプルプログラム
ここでは、Pythonを使ってexcelを操作するためのサンプルプログラムを説明します。サンプルプログラムでは大きく次の2つの処理を説明します。
- Excelを作成する
- Excelからデータを読み込む
Excelファイルを作成する
「Excelファイルの作成」には、具体的には次のような8つの処理が必要になります。
- Excelのワークブックオブジェクトを作成する関数の定義
- Excelのワークシートを取得する関数の定義
- Excelのセルを編集する関数の定義
- Excelのシートを追加する関数の定義
- Excelのシート名を変更する関数の定義
- Excelのワークブックを保存する関数の定義
- Excelのセルの幅を調整する関数の定義
- 定義した関数の実行
以下に8つの処理内容をプログラムを使って具体的に説明します。
1.Excelのワークブックオブジェクトを作成する関数の定義
下に記載しているcreate_workbook()関数では、Excel操作に必要なExcelワークブックオブジェクトを作成します。返り値(戻り値)にwb(ワークブックオブジェクト)を返すことによって、このcreate_excel()関数の呼び出し元でExcelワークブックを扱えるようにします。
引数の「default_sheet」はシート名が入力されます。もし特に指定がない場合はシート名として「default」という名前のシートが作成されます。
# create excel work book(return work book object)
def create_workbook(default_sheet='default'):
# Workbookインスタンスを作成する
wb = openpyxl.Workbook()
ws = wb.active
# ワークシートのタイトルは"Sheet1"を指定する
ws.title = default_sheet
return wb
- 関数「create_workbook」を定義宣言する。
- 変数「wb」をライブラリ「openpyxl」のメンバ関数「Workbook」からの戻り値で初期化する。
- 変数「ws」を変数「wb」のメンバ変数「active」の値で初期化する。
- 変数「ws」のメンバ変数「title」に変数「default_sheet」の値を代入する。
- 変数「wb」の値を戻り値として返却する。
2.Excelのワークシートを取得する関数の定義
下のget_worksheet()関数では、Excelのワークシートオブジェクトを取得します。引数にwork_book(ワークブックオブジェクト)と、sheet_name(シート名)をとります。
もし、「sheet_name」が入力されていない場合は、現在のアクティブなシートオブジェクトを返却し、sheet_nameが入力されている場合は、その名前のシートオブジェクトを返却します。
# get sheet object
def get_worksheet(work_book,sheet_name=None):
if sheet_name is None:
ws = work_book.active
else:
ws = work_book[sheet_name]
return ws
- 関数「get_worksheet」を定義宣言する。
- 変数「sheet_name」が値「None」の場合は次の処理を実行する。
- 変数「ws」をワークブックオブジェクト「work_book」のメンバ変数「active」の値で初期化する。
- 変数「sheet_name」が値「None」以外の場合は次の処理を実行する。
- 変数「ws」を名前「sheet_name」のワークブックオブジェクト「work_book」で初期化する。
- 変数「ws」を戻り値として返却する。
3.Excelのセルを編集する関数の定義
下のedit_cell()では、excelのセルを編集します。引数に、次の4つのパラメータを入力します。
- work_sheet(ワークシートオブジェクト)
- row_p(列番号)
- col_p(行番号)
- contents(セルに入れる文字や値)
目的の行列の番号で指定されたセルの内容をcontentsに書き換えた後、wc(ワークセルオブジェクト)を返り値で返却します。
※関数「adjust_coll」は、セルの幅を調整するための関数です。関数「adjust_coll」の説明は後ほど行います。
# edit cell value
def edit_cell(work_sheet,row_p,col_p,contents):
wc = work_sheet.cell(row = row_p, column = col_p, value = contents)
adjust_col(work_sheet)
return wc
- 関数「edit_cell」を定義宣言する。
- 変数「wc」を引数から得られるワークシートオブジェクト「work_sheet」のメンバ関数「cell」の戻り値で初期化する。
- 関数「adjust_col」を呼び出す。
- 変数「wc」の値を戻り値として返却する。
4.Excelのシートを追加する関数の定義
下のadd_sheet()関数では、excelシートを追加します。引数にwork_book(ワークブックオブジェクト)とsheet_name(シート名)を入力します。sheet_nameで指定された名前のシートがwork_bookに追加されます。戻り値として、ワークシートオブジェクトを返却します。
# add sheet(retrurn additinal sheet object)
def add_sheet(work_book,sheet_name):
work_sheet = work_book.create_sheet(title=sheet_name)
return work_sheet
- 関数「add_sheet」を定義宣言する。
- 変数「work_sheet」をワークブックオブジェクト「work_book」のメンバ関数「create_sheet」からの戻り値で初期化する。
- 変数「work_sheet」の値を戻り値として返却する。
5.Excelのシート名を変更する関数の定義
関数change_sheet_name()では、excelのシート名を変更します。引数に次の3つのパラメータを入力します。
- work_book(ワークブックオブジェクト)
- org_name(現在のシート名)
- dst_name(変更するシート名)
動作としては、work_bookの中にあるorg_nameのシート名をdst_nameに変更します。この関数の返り値はありません。
# change name of sheet
def change_sheet_name(work_book,org_name,dst_name):
work_sheet = work_book[org_name]
work_sheet.title = dst_name
- 関数「change_sheet_name」の定義宣言する。
- 変数「work_sheet」を名前「org_name」のワークブックオブジェクト「work_book」で初期化する。
- 変数「work_sheet」のメンバ変数「title」に変数「dst_name」の値を代入する。
6.Excelのワークブックを保存する関数の定義
次の関数save_workbook()では、excelのワークブック(エクセルファイル)を保存します。
引数に
- work_book(ワークブックオブジェクト)
- file_name(保存ファイル名)
- save_path(保存する場所)
を入力すると、work_bookをfile_nameのファイル名で、save_pathの場所に保存されます。
もし、save_pathが入力されなかった場合は、現在の場所にファイルを保存します。このsave_file()関数には、返り値はありません。
# save excel files
def save_workbook(work_book,file_name,save_path=''):
work_book.save(file_name)
- 関数「save_workbook」を定義宣言する。
- 引数で得られたワークブックオブジェクト「work_book」のメンバ関数「save」を呼び出す。
7.Excelのセルの幅を調整する関数の定義
下のadjust_col()関数では、セルの幅を自動調整します。引数にws(ワークシートオブジェクト)を取り、wsで指定されたワークシートのcellに入力されている文字や数字の長さに合わせてCellの幅を調節します。
# adjust cell width
def adjust_col(ws):
for col in ws.columns:
max_length = 0
column = col[0].column # Get the column name
column = chr(ord("A") - 1 + column)
for cell in col:
try: # Necessary to avoid error on empty cells
if len(str(cell.value)) > max_length:
max_length = len(cell.value)
except:
pass
adjusted_width = (max_length + 2) * 1.1
ws.column_dimensions[column].width = adjusted_width
- 関数「adjust_col」を定義宣言する。
- ワークシートオブジェクト「ws」のメンバ変数「columns」を1つずつ変数「col」に格納しながら、次の処理を繰り返す。
- 変数「max_length」を値「0」で初期化する。
- 変数「column」を0番目の変数「col」のメンバ変数「column」で初期化する。
- 変数「column」に変数「column」で指定されている列番号のアスキー番号を格納する。
- 「col」を1つずつ変数「cell」に格納しながら次の処理を実行する。
- 次の処理にエラーが発生するまで実行する。
- セルオブジェクト「cell」のメンバ変数「value」 が変数「max_length」よりも大きい場合は次の処理を実行する。
- 変数「max_length」 セルオブジェクト「cell」のメンバ変数「value」の値を代入する。
- 次の処理にエラーが発生するまで実行する。
- 変数「adjusted_width」 を値「max_length」に2を足したあとに1.1倍した値で初期化する。
- 変数「column」番目のオブジェクト「ws.column_dimensions」のメンバ変数「width」 に変数「adjusted_width」の値を代入する。
8.定義した関数の実行
ここでは、上記で定義した関数の呼び出しを行います。ソースコードの処理の流れは、下記の通りです。
- Excelワークシートオブジェクトを作成
- ワークシートオブジェクトを取得(はじめのシート名は「default」になります)
- 1行1列目のセルから2行2列目のセルに文字列を書き込み
- Excelシートを追加
- セルに文字列を書き込み
- シート名を変更
- ファイルを保存
# 使用するライブラリをインポートする
import openpyxl
from openpyxl.styles.fonts import Font
from openpyxl.styles.alignment import Alignment
from openpyxl.styles.borders import Border, Side
from openpyxl.chart import BarChart
if __name__ == '__main__':
# set file name as 'test.xlsx'
filename = 'test.xlsx'
# create excel work book for writing
w_wb = create_workbook()
# get work sheet
w_ws = get_worksheet(work_book=w_wb,sheet_name=None)
# edit cell
edit_cell(work_sheet=w_ws,row_p=1,col_p=1,contents='A1')
edit_cell(work_sheet=w_ws,row_p=1,col_p=2,contents='B1')
edit_cell(work_sheet=w_ws,row_p=2,col_p=1,contents='A2')
edit_cell(work_sheet=w_ws,row_p=2,col_p=2,contents='B2')
# add work sheet
n_ws = add_sheet(work_book=w_wb,sheet_name='new sheet')
# edit cell
edit_cell(work_sheet=n_ws,row_p=1,col_p=1,contents='BBBB')
# change sheet name
change_sheet_name(work_book=w_wb,org_name='default',dst_name='changed sheet')
# save work book
save_workbook(work_book=w_wb,file_name=filename,save_path='')
- ライブラリ「openpyxl」をインポートする。
- ライブラリ「openpyxl.styles.fonts」からモジュール「Font」をインポートする。
- ライブラリ「openpyxl.styles.alignment」から「Alignment」をインポートする。
- ライブラリ「openpyxl.styles.borders」からモジュール「Border」「Side」をインポートする。
- ライブラリ「openpyxl.chart」から「BarChart」をインポートする。
- 変数「filename」を文字列「test.xlsx」で初期化する。
- 変数「w_wb」を関数「create_workbook」からの戻り値で初期化する。
- 変数「w_ws」を関数「get_worksheet」からの戻り値で初期化する。
- 関数「edit_cell」を呼び出す。
- 関数「edit_cell」を呼び出す。
- 関数「edit_cell」を呼び出す。
- 関数「edit_cell」を呼び出す。
- 変数「n_ws」を関数「add_sheet」からの戻り値で初期化する。
- 関数「edit_cell」を呼び出す
- 関数「change_sheet_name」を呼び出す。
- 関数「save_workbook」を呼び出す
Excelからデータを読み込む
次に既に作成されているExcelからデータを読み込む方法を説明します。データを読み込むために、具体的には次の3つの処理が必要になります。
- Excelのワークブックを読み込む関数の定義
- Excelのセルのデータを読み込む関数の定義
- 定義した関数の実行
上記の3つの処理をサンプルプログラムを使って説明します。
1.Excelのワークブックを読み込む関数の定義
下記のload_workbook()では、既存のExcelファイルのワークブックオブジェクトの読み込みを行います。引数には既に作成されているExcelのファイル名(file_name)を入力し、そのファイルのワークブックオブジェクトを返却します。
# load exsiting work book
def load_workbook(file_name):
r_wb = openpyxl.load_workbook(filename)
return r_wb
- 関数「load_workbook」を定義宣言する。
- 変数「r_wb」を関数「openpyxl.load_workbook」の戻り値で初期化する。
- 変数「r_wb」の値を戻り値として返却する。
2.Excelのセルのデータを読み込む関数の定義
read_cells()では、セルのデータを読み込みます。引数にワークシートオブジェクト(work_sheet)を取り、指定されたワークシートのセルの値を2次元(シートにある縦と横で)の配列として返却します。
# read cells
def read_cells(work_sheet):
extracted_cells=[]
for column in work_sheet.columns:
temp_array = []
for cell in column:
temp_array.append(cell.value)
extracted_cells.append(temp_array)
return extracted_cells
- 関数「read_cells」を定義宣言する。
- 変数「extracted_cells」を空のリストで初期化する。
- 変数「work_sheet.columns」の値を1つずつ「column」に格納しながら次の処理を繰り返す。
- 変数「temp_array」を空のリストで初期化する。
- 「column」のすべての要素を1つずつ「cell」に格納しながら次の処理を繰り返す。
- 変数「temp_array」に変数「cell」のメンバ変数「.value」の値を加える。
- 変数「extracted_cells」に変数「temp_array」の値を加える。
- 変数「extracted_cells」の値を戻り値として返却する。
3.定義した関数の実行
ここでは、上記で定義した関数の呼び出しを行います。ソースコードの処理の流れは、下記の通りです。
- Excelのワークブックオブジェクトを作成します。
- データを取得するシートのシートオブジェクトを取得します。
- セルのデータを取得します。
if __name__ == '__main__':
# load excel work book for reading
r_wb = load_workbook(file_name=filename)
# get work sheet
r_ws = get_worksheet(work_book=r_wb,sheet_name='changed sheet')
# read cells
extracted_cells = read_cells(work_sheet=r_ws)
print(extracted_cells)
Pythonで行うその他のofficeの操作方法
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